PROJECT STORY02

租税特別措置法第40条

社会に求められる公益事業を
次の世代に残すため、未経験の領域に挑む

MISSION 公益領域の業務を開拓し、次世代のための課題解決を実現する

青山合同税理士法人は資産税領域の幅広い税務コンサルティングを得意としているが、得意分野にとどまることなく、新しい領域への挑戦を続けている側面も持つ。その代表例が、パートナーであるH.Hが主導で進めた「租税特別措置法第40条」の申請だ。公益法人への寄付について譲渡所得税等が非課税となる特例制度で、保育園や幼稚園、介護施設といった、社会的に求められる事業を、安定した経営で次世代に受け継ぐ助けになる。次世代のための課題解決に挑戦したプロジェクトメンバー3人が、未経験の分野で奮闘した日々を振り返る。

PROJECT MEMBER

パートナー

H.H

2013年入社。新規領域、未経験分野のプロジェクトを数多く指揮してきた経験をもとに、本プロジェクトの責任者としてプロジェクトマネジメントを担当。

アシスタントマネージャー

T.K

2016年入社。税務顧問をはじめ法人向け業務の税務コンサルティングを得意としている。本プロジェクトでは申請書類の作成を中心に担当。

アシスタントマネージャー

R.T

2015年入社。法人向け、個人向け業務を担当し、資産税領域を得意としている。本プロジェクトでは連絡窓口として関係各所との調整を主に担当。

未経験の分野に挑むプロジェクト

「公益法人を営むお客様に、租税特別措置法第40条の申請を提案できないだろうか?」プロジェクトのスタートは、青山財産ネットワークス(AZN)からの相談だった。ある資産家が、自身が営む事業の継続に悩んでいるというのだ。その資産家は、保有する土地を保育園や幼稚園に貸し、その施設を運営する形で公益法人を営んでいた。将来発生するであろう土地の相続に際し、相続税が高額になれば施設の経営を圧迫することになり、土地を手放す選択を迫られるかもしれないという。そうなると公益事業を継続できなくなり、地域社会にとって大きなマイナスとなってしまう。ここで検討された解決策が、公益法人に必要な資産を寄付した場合、通常課されてしまう所得税等が非課税となる「租税特別措置法第40条の申請」(以下「40条申請」)だ。

この相談を受けた時点で青山合同税理士法人には、40条申請はもとより公益法人に対する業務のノウハウがほとんどない状態だった。しかし代表の高山は、これを新しい分野に挑戦するチャンスと捉え、パートナーのH.Hに プロジェクトの立ち上げを打診した。「公益法人関連の業務は未経験でしたが、得られるものが非常に大きい案件でしたので、すぐに『やりましょう』と引き受けました。しかし過去に経験のない業務でしたので、プロジェクトを進めるメンバーは慎重に検討しました」(H.H)。ここで声をかけたのが、緻密な業務に定評があり法人業務で活躍するT.Kと、前職で公益法人に関する業務経験があり資産税を得意とするR.Tだった。

公益法人ならではの難しさを乗り越えていく

プロジェクトを進めるにあたり、未経験の分野で業務を行うための調査が最も大変だったとH.Hは振り返る。「公益法人は収益の大半が非課税になるため、そもそも税理士との関わりが少なく、私たちも知らないことが多い分野でした。さらに運営する施設によって、私立学校法や社会福祉法などの法律が定められているのですが、私たちは税法以外の法律に詳しいわけではありません。こうした普段の業務では扱わない領域を調べて、把握しながら業務を進めることが大変なプロジェクトでした」(H.H)。この調査をH.Hと共に進め、プロジェクトを支えたのがT.Kだ。

T.Kは主に申請書類の作成を担当したが、それは通常業務で扱う税務申告関係書類とは大きく異なるものだった。申請書類作成のために、クライアントへの深いヒアリングが求められたのだ。「40条申請は公益増進のための制度ですので、寄付する人と寄付先の間、寄附を受け入れる法人内に少しでも公益に反する要素があると、税務署から指摘が入ります。そのために、ヒアリングを実施したうえで作成しなければならない申請書類が多くあったのです。他にもお客様の内部事情を深く理解しないと作成できない書類も多く、正確な情報を引き出すスキルが求められました」(T.K)。クライアント訪問を繰り返してT.Kが作成した申請書類は、電話帳ほどの厚さにまで及んだ。

ゼロから作り上げていく型のない業務

R.Tは公益領域の業務にもともと関心を持っており、前職の会計事務所勤務時代からチャンスがあれば積極的に公益案件に関わってきた。しかし前職での経験があるとはいえ、40条申請は手探りで進める局面も多かったという。「このプロジェクトはルーティンワークの要素がほとんどなく、業務の進め方そのものから考えなければなりませんでした。お客様にご説明するための資料も、会計や税務申告の報告時のものとは全く異なるものとなります。申請の流れやスケジュールをご説明し、スムーズに漏れなくヒアリングを進めていくためや、多岐にわたる膨大な書類を円滑にご用意いただくための資料を、ゼロから作りこんでいく必要がありました。新しい領域の業務に取り組む手法や考え方を、H.Hさんに自ら見本を示していただきながら進めていったことが印象に残っています」(R.T)。

主に窓口としてクライアントと税務署とのコミュニケーションを担当したR.Tは、プロジェクトを進めるにつれて40条申請特有の難しさを実感することになる。40条申請は承認されるまで、平均して2~3年もの時間を要する手続きなのだ。申請書は寄付をしてから原則4カ月以内に提出するため、たとえ承認までの間に状況が変わったとしても、寄付や申請を取り下げることができない。さらに承認を待つ間は、税務署から五月雨式に入る補正依頼への対応も必要になる。申請が承認されるまでの長期間にわたり、R.Tは持ち前のコミュニケーションスキルで、クライアントと税務署の双方と良好な関係を継続し、プロジェクトを進行していった。

次世代へ受け継がれる挑戦の文化

T.Kの緻密な書類作成と、R.Tによる円滑なコミュニケーション。得意分野の異なる2人をH.Hがチームに束ね、初めての40条申請は無事に承認された。その後も3人のチームは継続的に40条申請を扱うようになり、今では青山合同税理士法人が提供するソリューションのひとつとなっている。未経験の分野に挑んだプロジェクトをH.Hは「意義のある挑戦」だったと振り返る。

「T.KさんとR.Tさんは、常に前向きに仕事に取り組んでいました。2人がそれぞれの得意分野で力を発揮したからこその成功だと思います。今では2人とも、若手に経験を伝える立場になりました。このプロジェクトで得た経験を次世代につないでいる様子を見ていると、会社にとっても2人にとっても、非常に意義のある挑戦だったと思います」(H.H)。

T.KとR.Tは、既に次の挑戦を見据えている。「40条申請は、所得税・相続税・法人税の他、多方面の知識が求められる業務でした。今後も税目にとらわれることなく、お客様に寄り添う業務にチャレンジしていきたいと思っています」(T.K)。「公益法人は奥が深く、今回はできなかった領域がまだ残っています。チャンスがあれば、公益の業務により深く関わってみたいです。そして、このプロジェクトはチームで動く楽しさを知った案件でもありました。今後もチームで取り組むことで、より相乗効果を生むような業務に挑戦していきたいですね」(R.T)。青山合同税理士法人の挑戦を続ける文化は、これからも次の世代へと受け継がれていく。

※掲載内容は2022年取材時の情報に基づいています

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M&Aによる事業売却から組織再編まで
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